誰にもやらない12

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「そ、落ちぶれてもうち旧家でな、お公家さん気質のおかあちゃんに、今時耐えられる嫁がいるわけないやんな」
 他人事のように言う佐々木に、浩輔は同情の目を向ける。
「モテまくりの佐々木さんにもそんな苦労があるんだぁ」
「そう、俺、昔から無駄に老若男女にモテまくりやねん。せえけど、嫁となるとなあ、わかるやろ?」
「わかります!」
 浩輔は佐々木と思わず目が合って、しばし目がそらせない。
 途端、アハハハハと佐々木が笑い、つられて浩輔も笑う。
 思い切り笑って、浩輔は胸につかえていたもやもやが吹き飛んだような気がしていた。
 
 
 
 
 
 晴天だった空が灰色に変わる頃、まさしくみっちり扱かれた浩輔とまだまだ余裕ありありの佐々木は下まで降りると、スキーを外して担ぎ、集合場所のセンターハウス前へとのんびり向かっていた。
 そんな二人に手を振りながら、カラフルなスノボウエアの女の子たちが駆けてきた。
 土橋と大沢も手持無沙汰らしく女の子の後ろに佇んでいるのが見える。
「さみしかったー、コースケちゃん!」
 直子が浩輔の首に飛びついた。
「グルジイって、ナオちゃんっ!!」
「ね、ね、聞いて聞いて! さっきね、超有名な御曹司と会ったんだよ!!」
 ようやく腕を離した直子が堰を切ったように話しだす。
「ずっと英報堂の人たちと遊んでたんだ」
 保奈美が後を続ける。
 英報堂という言葉に反応して、ミシリと浩輔の心臓が音を立てた。
「何やね? 御曹司て」
 佐々木が口を挟む。
「ほら、河崎グループの御曹司! 業界じゃ有名じゃない? 英報堂の河崎達也! 実物は噂より何万倍もステキ!」
 美紀の目からはハートが飛び出してきそうだ。
「そ! もう、超カッコイイってゆーかぁ、頭も切れて、でも結構くだけててぇ…はぁ、あんな人っているんだよね、世の中には…」


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