誰にもやらない14

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 顔を上げた浩輔の目に、鋭い眼光が飛び込んでくる。
 漆黒の髪、アメリカ人の母の血が色濃く出た彫りの深い面差し、唇の端を上げて笑う、ちょっと人をくった不適な表情。
 大柄なせいで余計に他を圧倒する。
 その男こそかつて浩輔の全てをがんじがらめにしていた河崎達也だった。
 浩輔は河崎の視線を躱し、心の中で叫ぶ。
 何で、今頃俺の前に現われるんだよ!!
 せっかく、せっかく忘れられたと思ったのに!
 女の子たちはすっかり藤堂の巧みな話術に手玉に取られている。
 さやかは、大沢や土橋らの、さり気なく気を引いている。
「コースケくんもね。ほら、積もる話もあることだし?」
「別にそんなものありませんよ」
 浩輔はきっぱりとさやかに言い返した。
「何だよ、お前、今まで何で隠してたんだよ」
「いや、俺は……」
土橋にまで詰め寄られて浩輔は助けを求めるように佐々木を見たが、佐々木はリアクションもなく、腕組みをしてみんなのようすを傍観している。
 結局、浩輔もパーティに駆り出されるはめになってしまった。
 
 
 
 
 パーティの顔触れは、英報堂の社員はさやかと藤堂だけで、仕事関係だろうリーマン組にモデルやタレントなども交じって華やかさを競っていた。
「きゃあ、アレ、加藤なみえじゃない?」
「見て、堀ノ内壮太!!」
 人気俳優やタレントを見つけて有頂天になっているのは直子や保奈美だけではない。
 土橋や、あんなに文句を言っていた大沢までもが、タレントの女の子たちのところへいそいそと飲み物を運んでいる。
「しかしでかいねえ、この別荘。河崎グループの御曹司ともなると、我々庶民とは生きる世界が違ういうわけやねえ」
 佐々木は呆れたように感心すると、ゆっくりと辺りを見回した。
 まだ真新しいこの建物は別荘というよりホテルのように豪奢で、ゆったりと快適そうな空間が広がっていた。
「あ、佐々木ちゃんじゃない、久しぶりぃ!」
 浩輔は中に入っても佐々木の後ろに隠れるようにしてくっついていたのだが、その佐々木までが顔見知りのモデルの美女と出くわし、腕を取られて人の輪の中に紛れてしまった。


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