誰にもやらない50

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 三日ぶりに浩輔が出社すると、直子や保奈美たちが、心配そうにデザインルームにやって来た。
「コースケちゃん、風邪、もう、いいの?」
「うん、平気」
「ナオがさ、看病に行くって言ったら、佐々木ちゃんが俺が行くからいいって言うしさ」
「うん。来てくれたよ。果物とか持って」
 実際は、佐々木が来てくれたのに、浩輔がドアを開けなかったので、外に置いてあった。
 とても佐々木に会えるような状態ではなかった。
 河崎に無理を強要された身体もしばらく使い物にならなかった。
 佐々木は直行らしく、今日はまだ顔を見せていない。
 でも…わかってた。
 やっぱり、佐々木に甘えられるはずないじゃないか。
 もう、いいや… しっかりしなけりゃ…
 たったひとつわかること――――
 きっとこの先、あんなに人を好きになることはもうないに違いない―――――。
 
 
 
 
 ここ数日、河崎と女たちとのスキャンダルが立て続けに週刊誌を騒がせ、有名女優や人気モデルが入れ替わり登場するので、ワイドショーもおもしろ半分、取り上げていた。
 当の河崎は夜毎飲み歩き、最後には荒れるので、女たちは藤堂に任せて帰ってしまう、そんな日が続いている。
 河崎を追い出したくてたまらない馬場部長は、これ幸いと、河崎を呼んで嫌み交じりに文句を並べ立てた。
「全く、君の母親も、トラブルメーカーだったと聞くが、あの親にしてということかねぇ」
 その一言がなければ、河崎も、馬耳東風、そんな行為には及ばなかったかも知れない。
 だが、それで、キレた。
 上司を殴り倒した河崎は、即日、一週間の謹慎を言い渡された。
 ところが、その夜も河崎は街に繰り出し、寄ってきた女の子と飲み歩いていた。

 


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