誰にもやらない57

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「ハイ、ジャスト・エージェンシーでございます」
「あ、あれ、ナオちゃん? 残業……?」
 浩輔は恐る恐る声を出す。
「あ、コースケちゃん? 今どこ?」
「え、あ、その…実は…」
 話している最中に、河崎が手を伸ばしてくるので、次の言葉が出てこない。
「安心して。あの後すぐ、佐々木さんに『ベリスキー』行ってもらったから」
「え、あの、後?」
 浩輔には事態が読めない。
「藤堂さんの車にさらわれちゃったじゃない」
「え、ちょっ…」
「とゆーわけだから、明日から張り切ってお仕事してね。じゃ、隣のカッコイイ人に、よろしくぅ」
 違う! すごくいや~な誤解だ! 藤堂なんて…!
 いや、そうじゃなくて…。
「あのっ、ナオちゃん?」
 河崎は、まだ何か言おうとしている浩輔から受話器を取り上げ、外線ボタンを切った。
 しかも河崎の指はお構いなく浩輔の弱いところくすぐってくるものだがら、憶えのある疼きがせりあがってきて、浩輔ははあっと息をついてしまう。
「河崎さ…、ちょ……だめ……」
 次には、形ばかりの抗議の言葉も口づけに飲み込まれてしまった。


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