逢いたい16

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 口を挟んだ宇都宮が笑う。
「いやスケジュールを確認しないとさ。で、君はヒロインは誰がいい?」
「え、俺に振るんですか? わかりませんよ、ヒロインって女子高生?」
「さすがに女子高生もできるだろうって子、希望はないのか? 絡み相手の」
 冗談ともつかぬ口調で坂口は笑う。
「見当もつかないですよ」
「まあいい、何人か候補をあげとくから、君、ダメそうな相手教えてくれ。広瀬くんは心当たりない?」
 いきなり振られて良太は戸惑った。
「え………女子高生ってのは、今一つピンとこないし……竹を割ったような性格できつくて明るい奥さんってのなら」
「ほう、誰だ?」
 ついブツブツ口にした良太に、坂口がさらに踏み込んでくる。
「いえ、俺、そういう人、ひとみさんしか思い当たらなくて」
「ひとみ? ああ、山内ひとみか、なるほど、いいな、決まりだ」
「えっ? 決まりってあの」
「工藤、早速彼女のスケジュール都合つけといてくれ」
 おたおたしている良太の横では、坂口と工藤がたったか話を進めていく。
 いいのか? それで……
 まあ、確かに山内ひとみは演技、美貌ともに申し分ないだろう。
 だが、都合つけといてくれ、という坂口の言葉からして、有無を言わせないところがあり、ひとみから文句の一つや二つは覚悟しなければならないだろう。
 うっわあ、どうしよう、俺、つい、口がすべっちゃってって、まさかそれでキャスト決まるなんて……あとで工藤に言われるんだろうな、いらんことを言うからだとか何とか
 心の中で、あーあ、と良太は溜息をもらす。
 穏やかに笑みを浮かべて坂口の話に耳を傾けている宇都宮は、割と強引に坂口に口説かれたような口ぶりにかかわらず、坂口との仕事を楽しんでいるようだ。
 そろそろ河岸を変えようと坂口が言い出したので、良太はタクシーを呼んできますと席を立つ。


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