逢いたい18

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 良太は宇都宮が札入れを出そうとしているのを見て慌てて運転手に支払いをする。
「俺が払うよ、さっきの店も支払してくれただろ? 経費で落とせるし」
「いえ、会社の経費で落としますから、寒いですからどうぞ入ってください」
 車を降りてから良太に抗議してきた宇都宮に、良太は頑として言い張り、宇都宮をホテルの中へと促した。
「やっぱり大物だよね、広瀬くん、人気俳優にもものともせず自分を貫くって」
 宇都宮が笑う。
 大物俳優なのに、いやだからなのか何だかこの人、気さくでいい人だよな。
「工藤に鍛えられてますから」
「なるほど、そういえば野茂マニアなのはわかったけど、どこのファン?」
「地元ですからまあ、レッドスターズですけど」
「川崎だっけ? あ、そうか、だから君の番組にはよく出てるのか、関西タイガースの沢村って。彼って結構気難しいって聞いてるけど」
「はあ、まあ子供の頃からの腐れ縁のよしみで……」
 工藤と坂口の後からエレベーターに乗り込んでからもそんな話をしている良太と宇都宮を工藤は少し目を眇めて見やった。
 一緒に仕事をするのは初めてだが、宇都宮には悪印象を抱いたことはない。
 業界関係者の話からも、そのモテようは半端ではないが仕事も手を抜かない、関係者に対する物腰や態度は丁寧で柔らかいし一緒に話しても面白い。
 だがどこをとっても非の打ちどころがないとはいかないらしく、手を抜かないせいで仕事上での意見の対立や喧嘩になることもあるし、昔からマスコミに女とのゴシップネタを提供することも忘れていない。
 どちらかと言うとあまり隠さず大っぴらなところが、ダーティな工藤とは逆に好印象となっている。


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