逢いたい19

back  next  top  Novels


 とはいえ四十二歳のこの年まで独身を通しているため、言い寄る女は数知れず、長く続いて二年、早ければ数か月、去る者は追わずのようだが、感情が淡泊なのではないかなどという噂もないこともない。
 それにもう一つ、信憑性はわからないがこの男がバイだという噂も訳知りの業界筋から工藤は耳にしたことがある。
 そこまで考えて工藤は頭の中で今しがた考えていたことを否定する。
 くそ………俺としたことが。
 妙に意気投合している二人を前にして、宇都宮をそんなフィルターをかけて見てしまう自分に工藤は呆れた。
「どうかしたか? 工藤」
 いつも以上に険しい顔つきをしていたのだろう、坂口が怪訝そうに工藤を見上げた。
「いえ、これからのスケジュール調整を考えていただけですよ」
「なあに、お前ならきっとうまくやってくれるさ」
「ったく、相変わらず能天気なその言葉、痛み入りますよ」
 坂口は工藤の嫌味をものともせず豪快に笑った。


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ