逢いたい2

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 良太が心の中でつい思い出してしまった青山プロダクション社長、工藤高広はキー局の一つであるMBC時代から一方冷酷非道とも噂されながら辣腕プロデューサーとして知られた男だ。
 この会社を興してからも規模は小さいながら業界でも存在感は一目置かれ、業績は右肩上がりだが、工藤の特殊な出自により万年人手不足、常に仕事は飽和状態。
 工藤のみならず社員である良太も東奔西走して駆けずり回る日々である。
 このドラマだって、自分に都合が悪くなったもんだから、俺に丸投げしてくれちゃってさ!
 お蔭で、色々と経験させてもらっているけどね。
 心の中でブツブツ呟きながら良太はコーヒーを飲んだ。
「志村くん、ここなんかいいんじゃないか?」
 志村の隣でさっきからタブレットで何やら探していたらしい小杉が、画面を志村に見せる。
「いいですね、ここにしましょうか」
「え、何ですか?」
 頷く志村に、良太が尋ねた。
「せっかく思わぬオフになったし、近くの温泉でも行こうかって言ってたんだ。良太くんも一緒にくるかい?」
 小杉が笑顔で言った。
「え、いいですね、それ」
 そう答えながらも、良太は別のことを考えていた。
 実は昨日、工藤からドラマの撮影状況を確認する電話を受けた際、新しいドラマの打ち合わせで工藤が今日の夕方札幌に行く旨の連絡を受けた。


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