逢いたい22

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 イラつきながら工藤はバーのチェックを済ませると、電話を借りてフロントに部屋を聞いた。
 エグゼクティブツインなら空いているという。
 このクラスのホテルなら、良太にゆっくりさせてやれるだろう。
 そのままフロントに降りてチェックインした工藤はバーに戻る。
「早朝から撮影だったので申し訳ありません、そろそろ引き揚げさせていただきます。お二人はゆっくりして行ってください」
 工藤は良太を揺り起したが、「はい、大丈夫です」と口にするばかりで、足元はおぼつかない。
「また連絡してくれ」
「お疲れ様です」
「ではよろしく」
 工藤は二人に素っ気なく返すと、良太を肩に抱えながら出口へと向かう。
 コートと良太の預けた土産物の袋を手にバーを出て、工藤は良太をエレベーターに乗せたが、酔いと疲れで頭は眠っているらしい。
 部屋に入り、ベッドに下ろしても良太は正体もなく寝入っていた。
 撮影もあるが、坂口や宇都宮を相手に気疲れだろうと思いながら、工藤は上着とズボンを脱がせ、ネクタイを取ってやるのだが、少し口を開いて子供のような寝顔を見ると工藤は苦笑いする。
 だがこんな体たらくで、もしあの場に自分がいなければ今頃連れ込まれていたのは宇都宮の部屋だったのではあるまいかと、またぞろくだらないシーンを思い描いた工藤は、舌打ちして、シーツをまくり良太を中に収めてからバスルームに向かった。
 さっきから一定のリズムで鳴り響く音が心地よい眠りを妨害していた。
 この音は何だと寝返りを打ったところで、今度はドアが開いた音で良太はがばっと身体を起こした。
 いったいここはどこだと辺りをぼんやりと見回しながら、聞こえてきた英語の怒鳴り声は記憶にあった。
 バスローブの背の高い男が携帯でしゃべっているのを見ると同時に、夢の中でトイレを探していたのを思い出し、良太はベッドを飛び下りる。
 窓辺のソファセットの傍で工藤が振り返ったのを横目に、良太はバスルームに飛び込んだ。
 うっわー、いつここに来たんだ? ぜんっぜん覚えてないし。俺、眠り込んでた? うっわー、俺、何か失態やらかしてないよな?
 用を足して鏡を覗き込んだ良太は、じわじわとクリアになる頭の中で喚く。


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