逢いたい3

back  next  top  Novels


 工藤とはMBCに籍を置いていた頃からたまにタッグを組んで番組を作っていた売れっ子だがなかなか難しいと評判の脚本家、坂口陽介から話をもらい、主演を想定している俳優が札幌で芝居の公演中ということで、出演交渉を兼ねての打ち合わせで急遽札幌へ呼ばれたらしい。
 工藤が札幌に着いた頃、ドラマの撮影が思った以上に早く終わったことを報告しようと思っていたのだが、札幌ならこの小樽からJRを使っても一時間かからないはずだと、良太はとっくに調べてあった。
 工藤とはここ四日程、顔を合わせていない。
 いやこのままいくと、顔を合わせないまま工藤は『大いなる旅人』のロケでまたギリシアに立つだろう。
 撮影が早めに終わったので、直接撮影の進行経過報告に来ました、って、アリかな……。
 だったらとっとと帰れ、とか言われたりして。
 第一、大事な出演交渉みたいだし、忙しいのに邪魔することになってもな。
 でも、時間が空いたんで、この辺りを観光してて、ついでに寄ってみたとか………。
 良太が頭の中でああでもないこうでもないと、札幌に行くためにシュミレートしていると、ポケットの中で携帯が鳴った。
「あ……すみません、ちょっと」
 ポケットから携帯を取り出し、相手を確かめると席を立った。
「どうしたんだよ、オープン戦、真っ最中じゃないのか」
 相手は沢村だった。
「今日はない。な、それよか何かいいアイディアないか?」
 最近の沢村が考えていることなど、大概わかりきっているが、とりあえず聞いてみる。
「何の?」
「明後日、佐々木さんをせめて京都あたりに来させる方法」


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ