逢いたい4

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 はあ、と良太の口からつい溜息も出てしまう。
「何か仕事がらみで佐々木さんに京都行かせるとか、お前、考えてくれよ」
「無茶言うなよ、明後日急になんて、万が一仕事があったとしても、できるわけないだろ? 佐々木さんの都合ってものがあるんだし」
 これがクールでクレバーと言われている人気スラッガーの考えることか、と言いたくなるような話を、とりあえず良太相手にだけだが、この男は平気で無茶を言ってくる。
「試合の前の休みに俺はいくらでも東京行けるってのに、身体をきちんと休ませろってあの人絶対会ってくれないし」
「あたりまえだろ? お前、先週は東京戻って会ったんじゃなかったのかよ」
「来週までなんか待てるか!」
 佐々木とつき合い始めてから、はっきり言ってラブラブ状態な恋人同士なはずなのだが、本当なら年がら年中一緒にいたい沢村と、沢村が野球選手であることを第一に考え、自身の仕事も忙しい佐々木とは意見の食い違いが割とあるらしい。
 だがそれは温度差というより、佐々木の自制心の強さのような気もするのだが。
「ちぇ、逢いたいだけなのによ!」
 沢村の気持ちもわからないではない。
 いや、むしろスキーツアーの時も、無理やり宮崎からやってきた沢村のことを少し羨ましくさえ思ったのだ。
「くっそ、やっぱ在京チームに行った方がいいかな」
 そこまで言ってしまえることも。
「バーカ、んなことしてみろ、佐々木さんに口聞いてもらえなくなるぞ。とにかく、来週までお前のやるべきことをやれよ」


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