逢いたい7

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 千歳空港に降り立った工藤高広は決して不機嫌なわけではなかったが、すれ違う者たちはその鋭い眼光にぞっとしてつい振り返った。
 坂口から連絡があったのは二日ほど前のことだ。
 坂口との仕事は今までもやり甲斐があるものだったが、ただでさえスケジュール限界のこの時期には有難いとはいえない話だった。
 しかし坂口という男は何だかだと持論をかざし、これまでにも幾度かさすがの工藤も最後にはウンと言わされてしまった経験上、やるやらないの口論をするより、とっとと打ち合わせを済ませてしまった方が時間の節約になる。
 にしたって何でまたよりによってクソ寒い札幌なんだ。
 ついこの間も別の案件で歩いた記憶のある空港のロビーを工藤は足早に横ぎった。
 いずれにせよ今夜は札幌に泊まるしかないだろう。
 予定を狂わされたことにいつまでもイラついていても始まらない。
 工藤はタクシーで指定された札幌のホテルに向かった。
 良太は小樽で撮影のはずだが、山之辺や脚本家と監督との間で四苦八苦しているに違いない。
 札幌行きを連絡して以来、何も言ってはこないが、何とか進行しているんだろう。
 いつぞや懸命に三人を宥めていた良太の顔を思い出すといつの間にか眉間に皺が寄る。
 良太のためには顔を出した方がいいとは思うのだが、山之辺とのことでまたマスコミが騒ぎ立てるとただでさえ遅れ気味な撮影の進行にも関わらないとも限らない。
 窓の外は雪が激しくなってきた。
 辛うじて工藤の乗った便はさほど遅れもなく到着したが、エアポートでは次の便は遅れているか欠航になるというアナウンスが流れていた。
 とりあえず明日は飛んでもらわないと困るのだが。
 あれやこれやと懸念材料を抱えた工藤を乗せてタクシーはやがて道央自動車道から札幌の街へと入った。


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