逢いたい8

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 札幌駅のホームを出るとキャリーケースを引きながら地下道を歩いて、良太は手近なホテルを目指した。
「とりあえず今晩の宿を確保しておかないと」
 今夜は自腹を切ることになるが札幌に来る途中でネットで予約したビジネスホテルは、平日で安くなっているらしい。
 ホテルにチェックインして荷物だけ部屋に置くと、良太は夕暮れの通りを散策してみようとホテルを出た。
 札幌の土産はと聞いて鈴木さんが教えてくれたのが、若い女性に人気があるというパティシェリだ。
 地下鉄で二つ目、目指すパティシェリで美味しいと評判のビスキュイやマカロンを買い込んだ良太は頃合いを見計らって工藤に連絡を取ろうと思っていた。
 近くのカフェに入ってちょっと大きく息をつくと、良太はコーヒーを頼んでから携帯を取り出した。
「六時半か、タイミング的にどうだろ」
 独り言を口にしながらコールする。
 コール六回で不機嫌そうな声が聞こえた。
「何だ」
 声を聴いただけで、良太の心臓はちょっと跳ねる。
 こりゃ、状況報告だけにしといた方が無難かな。
 工藤の不機嫌具合はかなりなものと良太は判断した。
 ま、昔から馴染の脚本家とはいえ、クソ忙しい時に札幌に来い、だもんな、工藤がキリキリするのもわからないでもない。
「……あ、えと、今いいですか?」
「早く言え」


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