ある日の午後3

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「そういえば、ありましたね、そういうの。俺も視聴率って、今一つ納得いかないものがあったし、SNSやネットでの反応は大事だと思うんで、こないだも『田園』の打ち合わせの時、いくつかのドラマのデータ比較して説明したんですよ」
 秋山の説明に、良太は頷きながら言った。
「何、言ってんのよ、そんなだから、ダメなのよ!」
 いきなり、女子談話グループからつかつかやってきて良太に食って掛かったのはアスカだった。
「え、何?」
 良太はなにがそんなで、ダメだとアスカから物言いがついたのか理解できないまま、怒りの表情のアスカを見つめた。
「いい? どうしてみんながあんなに感動してると思ってるの? 本物の愛、だからよ! 男同士だとか、視聴率とかそんなことはどうでもいいの! 彼らが本心からの愛を語っているからなのよ! ドラマだろうが何だろうが、野村冬樹も中井俊もドラマの中で本物の愛を生きてくれたから、みんなの心を打ったんじゃない! そんなこともわからないでドラマを作ろうなんて、百万年早いわよ!」
 我儘だとか自己中だとかなんたらかんたら言われてきた女優のアスカだが、今、彼女が口にしたことはあまりにも正論で、良太も「は、はあ……」としか言葉がなかった。
「まさか、良太、見てないとか言わないわよね?」
「いや、すごいドラマだって聞いて初回は見たんだけど」
「バカね、ちゃんと見なさいよ、最後まで!」
 アスカの剣幕に、良太はそのドラマのことを思い出した。
 『恋するオッサン、春』なんていうふざけたタイトルに、深夜帯だからってオッサン、つまりオヤジたちの恋物語なんかやって視聴率が取れるんだろうかと最初は思ったのだ。
 ところが、回を追うごとにそのドラマの噂は急速に広がった。
 オヤジたちの恋物語でも内容が、男同士の三角関係で、それもまじめにやっているというのだ。


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