ある日の午後4

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 気になってネット配信で初回を見てみた良太は、諸外国では同性婚が合法化されたりしているが、この日本で、いくらダイバーシティがクローズアップされ、性別や人種や諸々の違いを受け入れ多様性を受け入れようという取り組みがなされるようになったとはいえ、地上波でまともに男同士の恋愛ものをドラマにするとは思い切ったものだと制作側に感心したものだ。
 しかも極端にゲイだぞ、みたいなてらいもなく、登場人物はごく普通にいる会社員だ。
 だが、初恋は成就しがたいなどとよく言われるように、そういった内容の話の結末には、御伽噺の最後に使われる、二人は幸せにくらしましたとさ、という言葉はおそらく当てはまらないだろうと思われた。
 今までにもゲイを扱ってアカデミー賞にノミネートされた映画などもあったが、訴えかけることには成功したとしても、結末は悲劇的だし、でなければコメディ路線だ。
「ミッシーには悪いけど、やっぱり結ばれるのは二人よね」
「絶対二人が幸せになるって信じてたわ」
「じゃなきゃ、私が許さない!」
 だが、奈々、鈴木さん、アスカの言動によると、どうやら良太の予想は外れたようだ。
「ほんとに、コウさん、ほんとの愛を知って笑顔を取り戻したのよ」
「帰ると迎えてくれる暖かい笑顔がほしかった、って、コウさんの台詞にもう泣けて泣けて」
 鈴木さんは話しながら本当に目に涙が浮かんでいる。
「いい、良太、あたしが話してあげるわ」
 良太が話を聞くまで許さないというアスカには、誰も何も言えない状況だった。
 アスカの説明によると、ドラマの主な登場人物は三人。それも主人公はモテない食器メーカーの横浜支社営業部に勤める三十三歳、ターくんこと萩原拓馬、その支社長のコウさんこと榊浩二は、アラフィフの笑ったことがないという強面、そして本社からテコ入れのためにやってきたミッシーこと三島徹は、長身イケメン高学歴のエリートで二十七歳にして主任という面々。
 これがなぜかモテない歴十数年のターくんをコウさんとミッシーが取り合うという内容だ。


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