花を追い21

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 しかし、坂口からまたぞろ良太に演技をやれなどという、トンデモ発言が出たのを拒否りたいばかりに、つい、頭の中に引っかかっていた本谷の名前などを出してしまったことに、今更ながらに後悔しないではなかった。
 だが一方で、工藤にその印象を変えさせたという本谷和正に、何となくこの先また変わっていきそうな気配を感じたのも事実だ。
 ひょっとして大化けしたりして。
 右肩上がりの人気に実力が追い付いたら、もしかするとそれもないことではない。
「ま、とにかく、スケジュールだよな」
 傾きかけた西日をまともに浴びて、良太はハンドルを思わず握りしめる。
夕方になってもエアコンをつけようと思わない。
 車を走らせながら、街並みも通りを行く風までが春の色を纏っているような気がして、少しばかり気分が高まるのを感じていた。


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