花を追い25

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 当然のことながら、その奈々を送り迎えし、疲れを残さないように奈々をいたわりながら行動を共にしていたのは谷川だ。
「谷川さん、具合悪いんですか?」
「おう、どうも、今朝から頭熱い気がして薬適当に飲んだんだが、よくならねぇどころかかなり熱上がった気がしてな。今、奈々、CMの撮影中なんだが、六本木のMスタジオ、インフルかもしれねんで、タレントにうつすわけにいかねぇから、ほんと、すまねぇんだが……予防注射は打ったんだが、別のやつかもしれねぇ」
「わかりました。谷川さん、ご心配なく、すぐに病院行ってください。奈々ちゃんの方は任せてください」
「ほんっとすまねぇ! 自己管理不足で申し訳ねぇ」
「いえいえ、谷川さんもここんとこかなりハードだったし、気にしないで」
「すまん……」
 受話器を置いた良太は、すぐに画面に向かい、社員やタレントのスケジュールを確認したが、案の定ただでさえ猫の手も借りたい社内事情なのだ、簡単に動けるような者は誰もいない。
「谷川さん、どうかなさったの?」
 鈴木さんがキーボードの手を止めて心配そうに声をかけてきた。
「どうもインフルかもしれないって」
「まあ、この春、まだインフルエンザ根強く流行してるみたいなのよ、谷川さん、ここのところすごくお忙しそうだったし」
 鈴木さんのゆったりした口調に、焦りながらリュックにタブレットを放り込んでいた良太は一つ深呼吸した。
「すみません、俺しか動けないみたいなんで、これから奈々ちゃんとこ行ってきます。それでお願いがあるんですが、明日のドラマの制作発表の出席確認、なんですが」
「もちろん、大丈夫よ。良太ちゃんも慌てないで気を付けてね」
 良太からリストを受け取りながら、鈴木さんは言った。
「わかってます。行ってきます!」
 車のキーをつかむとリュックを肩に引っ掛け、オフィスを飛び出した。


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