花を追い33

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「宇都宮さんこそ、大変ですよね、うっかり普通につきあうこともできないんじゃないですか?」
「まあねー、でもいい加減この年だよ? もっと若いアイドルにターゲットを移してもらいたいよ」
 ふっと笑いながら、宇都宮はワインを空けた。
 さらっと前髪の落ちる髪型も胡散臭くないし、おそらくジムにも通っているに違いない細マッチョな体形にしろ、工藤と変わらない身長だから190近いだろうし、とにかく甘めな造りのいい顔立ちは若い頃よりもそれこそ深みが出て、今非常にいいバランスなのではないだろうか。
 いい男は何をしても絵になるんだな、と良太は改めて思う。
「オンとオフを切り替える人もいるじゃないですか。宇都宮さんてあまりそういうのない感じですよね」
「え? めんどくさいじゃんね。そういうの。カッコ付けできないたちだし」
「いや十分、いるだけでカッコいいです」
 宇都宮はじっと良太を見つめて笑う。
 その瞳の色が不思議に変化している気がする。
「いいなーそれ、良太ちゃんにそういわれると嬉しいよ。ウソのない人だから」
「え、いや、そんなことは……」
 一瞬宇都宮の瞳にロックオンされたような気がして、良太は慌てて視線を逸らす。
「なんか、かあわいいなー、良太ちゃん」
 そんなことを簡単に口にする宇都宮を見て、良太はじわじわと頬が熱くなってくる。
「いや、俺、かわいいっつう歳でもないっすから……」
とりあえず目の前の料理をガツガツと口に運び、カクテルを飲んで、ちょっと落ち着こう、良太は自分に言い聞かせた。
「さすがにさ、どこかに内通者がいたとしても、今のところ女に振られたばっかだから、男二人でいたって、まさか良太ちゃんのこと口説いてるとかは思わないよね」
 じっと良太をその視線でフォーカスしたように、ほほ笑んでいる宇都宮の瞳は今ひどく妖し気な色を湛えている。
「……ひぇ?」
 口いっぱい頬張ったまま変な声を出した良太は、またぞろロックオンされたように固まった。
 ただドクドクと宇都宮に聞こえるのではないかと思うくらい心臓が大きな音を立てている。


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