花を追い35

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「しっかり人を見る目があるんだ、良太ちゃんには。だから工藤さんから一目置かれている」
「とんでもない! うちは弱小事務所で万年人手不足で俺なんか工藤にあれやれこれやれって押し付けられてやってるだけで、雷落とされるのなんか怖がってたら何もできないんで、やれることやってるだけで」
 はははと良太は空笑いする。
「しかしあの工藤さんが、できない人間にやらせるとか、ないでしょ」
「あの人は俺の性格利用して、とりあえず丸投げするんです。できなきゃ使えねぇやつはうちにはいらんとかなんとか」
 良太は工藤の苦虫を噛んだような顔を思い浮かべて眉を顰める。
「それにちゃんと応えてるんだろ? 現に今回のドラマ、出だしからハチャメチャみたいじゃないか。それをキャスティングをはじめ何とか今日形にできたのは、良太ちゃんの手腕てことだ」
「形にできたって、まだ始まってもいないじゃないですか。キャスティングだって、俺が思い付きで口にしただけで、ほんといいのかって。局側のプロデューサもなんかほんとこっち丸投げみたいなのに、そのまた丸投げで俺、責任なんか取れないっすよ」
 それを聞くと、宇都宮も苦笑する。
「まあね、何かずっと前に決まってた脚本家があと一年ってとこでバンザイしちゃって、焦りまくったプロデューサが必至で坂口さんに頼み込んだってからな」
「はあ、何か病気が再発したとかって」
「表向きはね。花嶋さんって、何かって言うと、ウツが出てとかって逃げちゃうんだ」
「え? じゃ病気って」
「まあ、逃げちゃうとこがウツといえばそうなのかもしれないが、煮詰まっただけだろ。俺も一度あの人のドラマやらせてもらったことがあるけど、今撮影って時にやっと脚本ってあったしな」
 のんびりとした口調で宇都宮は言った。


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