花を追い36

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「でも、サブの脚本家もいたんですよね? 大事な記念番組なんだし」
「ここだけの話、サブも二人ほど頼んでたんだけど、話がお話にもならなかったって。坂口さん情報だから割と信ぴょう性はある。あの人、人の口割らせるのうまいし」
「はあ………ますます、魑魅魍魎………」
「まったくだ。脅すわけじゃないけど、常識通じないし、無理難題ばっかだし、突然喚きだすし、理解不能な連中ばっか。俺も、その一人」
 その時、ようやく良太は宇都宮のワインが亡くなっていたのに気づいた。
「あ、すみません、気づかなくて、ワイン、追加オーダーしますか?」
「うーん、どっちかっていうと、もっとくつろげるところがいいな。上に部屋とって、一緒に飲まない?」
「は?」
 宇都宮が立ち上がったので、良太もそそくさと立ち上がって伝票を探すが、テーブルにみあたらない。
「ああ、ここは気にしなくていいよ、俺が誘ったんだし」
「え、でも……」
 良太はようやく、相談があると言われたのに、逆に良太の相談のようなことになってしまったと当初の目的を思い出した。
「あ、そういえば、俺に何か相談っておっしゃってましたよね、何か逆に、俺の相談教室みたいになってしまって」
「そう、そうなんだ、相談があったんだ。てことで、上、行く?」
 茶目っ気のある表情で、宇都宮が良太を見下ろした。
「え、いやあの、」
 良太は慌ててスマホを取り出した。
 時間は九時近かった。
「実は明日の打ち合わせの資料、作らなきゃならなくて、また、ご連絡します」
 確かに明日は沢村の件でプラグインの藤堂や佐々木らと先方へ打ち合わせに行くことになってはいたが、資料は既に作成済みだった。


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