勝手にしやがれ! 11

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 良太が沢村のアプローチを茶化していたのも、そこのところが引っ掛かったせいもある。
 佐々木は一見してふわふわしていて危なっかしい子供っぽいところもあるが、やはり自分たちより中身は大人だろうから。
 うーん、と良太は唸る。
 沢村の思いがホンモノなら、応援してやりたいものだが、相手が男となれば、やっぱり話は別だ。
「俺が工藤が好きなのとは、また次元が違うって」
 そう考えると、藤堂が言ったという、マスコミも大々的に報じてくれてるんだから、というのも意味をなしてくるのかもしれない。
 そうやって騒いでくれるうちは、ことの真相に気づくことはないだろうと。
 だって、あいつ、別に男じゃないとダメだとかいうわけじゃないんだし。
 大学時代、張り合うような気分で、良太も言い寄ってくる女の子と遊んだりしていたが、むしろ遊んでいたつもりが遊ばれていたくらいが関の山で、沢村のモテ方は良太なんぞでは到底太刀打ちできない凄さで、かなり女の子とっかえひっかえしてたくせに。

 ………滅茶苦茶……好きで……

 沢村の思いの切なさは十二分に良太の胸をもついた。
「佐々木さんは、……どうなんだろう……」
 良太は髪にあてていたドライヤーを止める。
「あーあ、何か、人の気持ちなんて、どうにもならないもんだよなぁ」
 しみじみ呟いてから良太は、冷蔵庫のドアを開いてポカリスエットのボトルを取り出した。
 俺なんか、工藤のあとを一生ついて行こうなんて思ってるけど、ほんとのところ、いつまで一緒に、傍にいられるんだろう。
 その時、テーブルの上の携帯がワルキューレを奏で始めた。
「はいっ、お疲れ様です」
 慌てて携帯を掴むと、良太は勢い込んで電話に出る。
「え、今からですか? はあ、わかりました」
 起きているんだったら、隣にいるから、ちょっと来い、という、例によって人の都合も何もない、社長工藤の命令である。
「何だ、隣にいたのか……」


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