勝手にしやがれ! 12

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 普通の社員なら文句の一つも出そうなところだが、良太にしてみれば、文句はとりあえず置いといて、年を越す前にちょっとでも会えることの方が嬉しかったりするのだ。
「明日、早いんですよね?」
 隣のドアをノックすると、工藤はすぐ良太を中に入れた。
「成田まで送りましょうか?」
「いや、タクシーで行くからいい」
 上着やネクタイを外し、シャツだけの工藤はモバイルのキーボードを叩きながらすげなく返す。
「『知床』の方はどうだ? 今日もスタジオじゃなかったのか?」
「ああ、みんなかなり疲労も極限状態だったんで、今夜は仕切り直しで頭切り替えようってことで。相変わらずヤギさんのこだわりがあって、遅れはありますけど」
「フン、あいつだけに主導権を取らせておくとああでもないこうでもないと、とことんやらないと気が済まないってやつだから、適当なところで、お前が決めて行けよ」
 いや、そんなこと言ったって……
「はあ、何とか年内には上げます」
 ある意味、工藤より下柳に進言する方が難しいかも知れないのだ。
「大和屋の、何か古谷の件でもたついてたみたいだが、どうなった? 何なら俺から連絡を取ってみるが」
 ほうらやっぱり、千雪絡みとなると、これだから。
「いえ、元サッカー日本代表の前島氏に快諾いただいたので、その件は何とかなりましたから大丈夫です」
「俺のスケジュールはサーバにあるから、何かあったら連絡入れろ。お前のもさっき確認したが、変更があったらあげておけよ」
 今回のロケハンは、行き帰りのエアを含めると約十日。
 ドラマ『大いなる旅人』は第四弾となるが、ただミステリー仕立てというだけでなく、実際現地で歴史を掘り起こしながら脚本家、ディレクター、工藤とでたたき台を創り上げていくというものだからどうしても長い滞在となる。
「あ、はい、わかりました。……あ、じゃあ、気を付けて。よいお年を」


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