勝手にしやがれ! 13

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 名残惜し気に踵を返そうとした良太は、腕をつかまれてまた振り向かされる。
「それだけのことでわざわざ夜中に呼び出すか、バカ」
「え、ちょ……あんた、明日早いって……」
 良太の腕をつかんだまま、工藤はベッドルームへ直行する。
「まだ時間はあるだろう」
「何だよ、俺だって明日、またスタジオなんだから!」
「頭、切り替えるんじゃなかったのか?」
「だからちゃんと寝るんだって!」
「俺もここのところいい加減ウザウザしてたから、頭、切り替えたいしな」
 力ずくとキスでベッドに縫いとめられた良太は、しばしじたばたしてみたものの、この常に勝手なオヤジに敵うはずもなく。
 軽く追い上げられて、体を繋がれてしまうと、あとはもう工藤にいいように泣かされる。
「……あんた、またタバコ、本数増えただろ」
 煙草の苦さまで味わわされた腹いせに、そんな悪態をついてみるが、工藤の髪やシャツに染みついた煙草の匂いに、ふっと安堵する自分もいたりする。
 ずっとこのまま工藤の体温を感じていられたらいいのに。
 くたびれて寝入っている良太を残して、朝早く工藤は出かけてしまうことが多いから一層、良太の心を切なくさせる。
 何が起こるかわからない、ただでさえ情勢が不安定な異国の地にいるのだ、工藤のことでは、ついついいらぬ心配をしてしまう。
「ちぇ……、ちゃんと帰ってこいよな」
 だだっ広い部屋の中で、一人ぽつねんとベッドの上に起き上った良太は、とっくに出かけてしまった工藤に向って呟いた。


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