勝手にしやがれ! 14

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 それから数日の編集作業は、久々の休息が利いたのか、みんなハイテンションで、ここのところの停滞気味が嘘のようにはかどった。
 とりわけ、下柳がああでもないこうでもない、どうしようかこうしようかと迷い出した時、すかさず、こうした方がいいのではと、工藤から言われたように良太が進言してみると、なるほどそうだな、と下柳も納得して前に進む。
「良太ちゃん、冴え切ってるねぇ。きっかり頭、切り替えてきてる、えらいえらい」
 機嫌のいい下柳に、頭をくしゃっとやられて、良太は苦笑いするしかない。
 大みそかを翌日に控え、何とか年内に上がりそうな気配がしてきたところで、よし、メシにするか、と下柳が言うと、みんながスタジオをどやどやと出ていく。
「あ、ちょっと俺、電話してから行きます。『桃園』ですね」
 近くの中華料理店に向かう一行に声をかけてから、良太は携帯を取り出した。
 どうしても気になることがあった。
 向こうのスケジュールを確認してはいないが、一応かけてみようと、着歴を辿ってその名前をクリックする。
「おう、良太」
 コール三回で出た相手は、案外元気そうな声だ。
「あ、今、大丈夫か? えっと、その、あれから、どうしたかと思って」
「こないだは悪かったな。編集、終わったのか?」
「いや、今夜が大詰め。明日には何とか終わる予定だけど……お前の方は? 年明けのイベント、大丈夫か?」
「心配するな、バッチリだ」
 思わず、ん? と何故かこちらもハイテンションだ。
「沢村さん、向こうの廊下はもう終わったんですか?」
 そこへ電話越しに飛び込んできた、何となく怖いおばさんの声。
「あ、すみません、これから向かいます」
 沢村がその声の主に答えている。
「おい、沢村、一体、どこで何やってんだ?」


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