勝手にしやがれ! 3

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 もはやそのクリスマスですらはるか昔のごとく思えるほど仕事に忙殺されていた良太だが、その時はあんな美人アナとうまくやったじゃないか、と自分のことのように嬉しくなった。
 以前、沢村から告られた時はふざけるなと取り合わなかった。
 お前が行かないからメジャーに行くのをやめたなどという沢村だが、せっかく再会した大切な友人を失くすのは嫌だったから、お前と俺の仲だろなんて茶化してくるのも良太としては流していたのだ。
 リトルリーグからのつきあい、といえば語弊があるが、幾度となく対戦したり、喧嘩したりする中でも、ウソがないやつで、いい加減なことが嫌いなやつだとはわかっていたから、余計に沢村には、ちゃんとふさわしい相手と巡り合ってほしいというのが本音だった。
 ところが今夜、時刻は夜十時を回った頃だった、下柳チームでの編集作業の途中、良太の携帯がポケットで震動した。
「…沢村?」
 工藤か、と慌てた良太は携帯に浮かぶ名前を訝しげに見た。
 携帯は尚もしつこくコールしている。
「すみません、ちょっと電話……」
「工藤のやつなら、当分忙しいからかけてくるなって言っておけ」
 スタジオを出る良太に、下柳がからかい半分声をかけた。
「はい、どうしたんだ、沢村」
 よもや彼女とデートで年明けの番組のドタキャンなんてのじゃないだろうな、などと良からぬ想像をしながら、良太は携帯に出た。
「忙しいのはわかってる。わかってるが、ちょっと時間取ってくれ」
「お前な……」
 また何を無茶言ってくれるんだ、と思う良太に、沢村が続けた。
「このままだと年明けても浮上できないかも知れない……」
 そんなことを言われれば、良太も本当に番組に支障が出かねない気にさせられる。
「わかった。どこにいる?」
「俺の部屋……」
 良太は頃合を見計らって、番組関係者がトラブりそうなのでちょっと出てくると下柳に断りを入れてホテルに向かった。


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