勝手にしやがれ! 6

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「それじゃ、その人にあの記事のことで誤解されたわけか?」
「誤解……してくれるくらいなら、まだいいかもな……」
 沢村は顔を上げた。
 いつもの端正でシャープな男前が、ひどく頼りない顔で良太を見た。
「十月の終わりだ……あの人に会って、自分でもマジかって疑ったんだが、ひと目惚れってやつ? それから何とかあの人と再会にこぎつけて、何度か会って………あの人も絶対、俺のこと好きだって、そう……思い上がってたのかもな………」
 沢村はじっと真剣な表情で聞いている良太に、言葉を続けた。
「古谷さんに言われて、昼の番組に出させられただろ? あの人、それ見て俺が野球やってる沢村だってわかったらしくて、突然、終わりだって言われて……」
「え、お前、自分のことその人に話してなかったのか?」
「知らなかったんだよ、あの人、俺のことなんか。だから、俺は、それでいいと思ってた。野球選手の俺とかじゃなくて、素のままの俺を知ってほしいって……」
 沢村は自嘲気味に笑った。
「でも……野球やってるからって、そんな嫌わなくてもいいだろ。だったら、野球なんかやめるって言ったのに……」
 それを聞いた良太は優しく微笑んだ。
「自信家で傲慢な、天才スラッガーのお前にここまで言わせるって、どんなすごい人なんだよ」
「…スラッガー? フン、あの人にとっちゃ、俺なんか厄介なストーカーでしかないんだ!」


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