勝手にしやがれ! 8

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「……おい、ちょ、待てよ、あ、一旦切ります!」
 良太はドアまできて携帯を切ると、真剣な眼差しで沢村を見上げた。
「お前……」
「いいから、行けって」
「お前こそ明日、ちゃんとトークショー行けよ?」
「わかってる」
「話はまた今度聞くから」
「いいって……」
「……よくない! また連絡する」
 ひどく心配そうな顔で、良太は言い切った。
「ああ……わかった」
 苦笑いする沢村はドアを閉めたが、良太はしばしその場を動けずにいた。
「佐々木さん……とかって、あいつ言わなかったか? 俺の聞き違い………?」
 混乱した頭を抱えながら車でスタジオに戻るなり、下柳の怒号が響き渡った。
「てめぇら、やる気ねぇなら、とっとと出て行け!」
 スタジオの中は、どんよりと不穏な空気が漂っていた。
 下柳がここまで、どこぞの社長のように怒鳴り散らすのは割りと珍しいことだ。
 みんなとっくに疲労がピークを越えていたのだろう。
 出て行く者はいなかったが、いつもは冗談ばかり言っているスタッフも、ムスッとした顔を隠さないでいる。
「ヤギさん、ちょっといいですか?」
 下柳が良太を見た。
「ここいらで一息入れませんか? 確かに時間はないけど、みんな疲労が溜まりきってこのままじゃよくはならないですよ。ちょっと休んで少し角度変えて見てみるとか」
 すると下柳はニヤリと笑った。
「いっぱしの台詞はくようになったもんだな、良太ちゃん」


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