このオヤジはよ~(Buon Viaggio!)2

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 ジェノバの空港で、良太を追いかけてきた工藤がそこに一緒にいたエンツォを殴り、良太を連れてさっさとミラノにやってきたのは、つい昨日のことだ。
 とりあえずの仕事は終わったわけで、二人を置いてとっとと日本に帰った秋山らの、社長に休暇を取らせようという陰謀に乗るべく、工藤は良太と三日間の休暇としゃれこむことにしたのだ。
「どうすんですか、エンツォ」
 ミラノ行きの小さな飛行機の中で、良太はまだぶすくれたまま、工藤に文句を言った。
 ポルトフィーノで工藤と言い争い、それからずっと口も聞くもんかと、さっさと一人で先に帰ろうとしたところを、追いかけてきたエンツォが親切そうに案内してくれるというので、ちょっと見知らぬ地で心もとなかった良太は、ラッキー、なんて思っていたのに。
「ふん、あれしき蚊に刺されたくらいなもんだ。あいつが最初からお前狙いだったのは、スタッフ連中だって知ってたぞ」
「へ? 俺ねらいって…」
「バカヤロウ! やつはバイなんだ。モデルなんかやってる連中に、気安く近寄るんじゃない」
「まっさか…」
 どうしてこいつは自分のことにはこうもニブチンなんだ。工藤は眉を顰める。
「大体きさまは、何度同じ目にあえばわかるんだ!」
「んなこと言ったって…」
 わかるわけないだろっ!
 そう言い返したいのをとどめて、必死で工藤が自分を追いかけてきてくれたことが改めて嬉しいと思う。
 エンツォには悪いことをしたが、まさかそんな下心があったとは。
 思い返してみれば、やたらとスキンシップの好きなやつだったけど。
「でも、エンツォ殴ったりして、加絵さんとまずいことになんないかな~」
 義理とはいえ息子であるわけで。
「ああ、加絵にはよく言っといた。今度エンツォがお前に何かしたらただじゃおかんってな」
 鴻池も自分と良太がどんな関係だろうと、吹聴するようなこともあるまいし。
 しかし、工藤は何やらいろいろ胸くそが悪い。
「うっそー!」
 良太は聞き捨てならない工藤の言葉に思わず顔を覗き込んだ。
「だって、社長、ポルトフィーノの加絵さんのヴィラまた撮影で使うんじゃ…」
「向こうが悪いんだ、何も文句はあるまい。それに撮影とは関係ない。それだけの謝礼はするんだからな」
「だって…」
「まだ何か文句あるのか」
「そりゃ、あんたの女のことなんか、俺には関係ないですけどねっ!」
 ふん、と良太は窓の外に顔を背ける。
「お前はバカか」


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