花びらながれ11

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 だったから、何だったんだろう。
 つまらないことに気を取られて、何かをミスったりしてはいけない、自分を叱咤してはみるものの、なかなか頭の隅から消えてはくれない。
 オフィスに帰るとちょうど先ごろアフリカから帰国したばかりの下柳から連絡が入ったので水野のことをちょっと聞いてみた。
「水野か、懐かしいな、元気だったか?」
 下柳は、水野は気に入った人間じゃないとなかなかしゃべらなかったりするから、良太ちゃん、気に入られたんだな、などという。
 それはラッキーだったのかもしれないが。
 何でも水野は資産家の令嬢らしく、事務所や自分の部屋があるマンションは親が管理しているのだろうと下柳は言った。
 だがどうやら前の事務所で、担当マネージャーが事務所の金を使い込んで姿をくらましたらしく、それで割とスムースに独立できたのだろうという話だった。
 俳優の小笠原もマネージャーに金を洗いざらい持ち逃げされたのを機に、青山プロダクションに移籍してきたわけで、やはり魑魅魍魎がどこに潜んでいるかわらかない世界だと、良太は改めて思う。
 水野が言った、誰を信用していいかわかんなくなるというのはそういう経験があったからなのだろう。
「そうだ、そろそろ電話してみよ」
 良太は鬼のご機嫌はどうだろうと予測を立てながら、工藤の携帯をコールした。
「あ、お疲れ様です」
「何だ?」
 途端に不機嫌な声が返ってくる。
 不機嫌なのはわかっても、やはり聞くしかないだろう。

 


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