花びらながれ16

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 デビューした当初は何かあるとピーピー泣いていた奈々だが、今までもドラマなどで共演した女優たちに結構意地悪をされた経験をした奈々は、のんびりマイペースで歩く術を身に着けたらしい。
 アスカとは別の意味で打たれ強くなった。
 よかった、これで難題が二つ解決した。
 ほっとした良太だが、有吉の件は依然動きはなかった。
 次から次へと湧いてくる厄介ごとに頭を抱えている良太の前に、またしても新たな厄介ごとが現れたのは翌日の夕方、鈴木さんも帰った後でアスカらと別件のCM撮影で打ち合わせをしていた時のことだった。
「市川さん!」
 良太は入ってきた女性を見て驚いた。
「広瀬さん、どうしよう……私……」
 今にも泣きそうな市川を、良太はソファへと促した。
「さてっと、じゃ、行こっか、秋山さん」
 アスカが意味ありげな目を良太に向けて立ち上がる。
 秋山とアスカが出て行くと、良太はキッチンで紅茶を入れて市川の前に置いた。
「ミルクティ、落ち着くよ」
 ありがとう、と言うと、市川は紅茶を一口飲み、しばらく逡巡していたようだが、気を取り直して口を開いた。
「有吉さん、警察にまだ拘束されているんですよね、でも、彼、奏ちゃん、事件とは何の関係もないんです」
 またしても、市川の話は良太の予期しない突拍子もない内容から始まった。
 奏ちゃんと口にしたように、実は美由と有吉は幼馴染だという。
 といっても有吉と美由は十歳ほど年が離れているが、双方の父親が大学の同期でどちらも有名企業の取締役をしており、親しくしていたせいで、美由が十歳くらいの頃から夏休み、冬休みは信州の別荘で一緒に過ごしていた。

 


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