花びらながれ19

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  ACT 3

 実際、工藤は帰ってきたが、良太が有吉のことを相談しようかどうしようか迷っているうちに、落ち着く間もなく、最近関わっているアイドル主演のドラマの撮影現場へと向かった。
 アイドルというのは今人気上昇中の某有名プロダクション所属タレント本谷和正のことだ。
 イケメンだ何だと騒がれ、人気が先走りしただけで事務所にいきなり主役を張らされたわけで、工藤に言わせれば芝居のしの字も知らないようなド素人だ。
 リテイクに業を煮やしている工藤の顔が目に浮かぶようで、はっきり言って良太は今の工藤には関わり合いたくはないというのが本音だ。
「本谷和正か」
 ご愁傷様と心の中で呟いて、今夜は久しぶりに早く部屋に上がってネコに癒されたい。
 早く帰っても何も、既に十時になりかけているのだが。
 そんな願いもむなしく、良太のデスクに置いてあった携帯が鳴った。
「…………沢村…………」
 しばらく鳴らしておいたがしつこくなかなか切れない。
 仕方なく良太は電話に出た。
「何だよ、いったい」
「佐々木さんが電話、取ってくれないんだ」
 俺は全国共通ダイヤルお悩み相談所かよ。
「お前何をやらかしたんだ?」
「お前ンとこ行っていいか?」
「断る、俺は今、限りなく忙しい……」
「実はもう来てる」

 


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