花びらながれ2

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 にしたって、沢村のヤツ、まだギアがはいんないのかよ、昨日も四タコってなんだよ、いつも調子は尻上がりによくなるはずなのに。
 仕事に忙殺されながらも良太が少し気がかりなのは、リトルリーグからのライバルで悪友、今や押しも押されもせぬ球界屈指のスラッガーで昨年の三冠王、関西タイガースの沢村智弘のことだ。
 学生時代騒がれ過ぎたせいでマスコミ嫌いになり、なかなかインタビューもさせてくれないクールガイとして通っている沢村だが、彼を知るものの前では時折ウザいくらい熱いところがある。
 それはいいが、沢村はいつも自主トレからきっちり計算して公式戦に備えている。
 最初は自分のその時の状況を踏まえながらあらゆる方法を試していくから、周りがあいつは調子が悪いなどと勝手に判断しても、マイペースで徐々に調子を上げていくだけなのだ。
 しかし例年この辺りになれば、たまに柵越えの一つや二つはあっていいはずだが、今年はまだそんな手ごたえを沢村から感じない。
 何か原因があるとしたら、アレしかないよな。
 いやいや、ただの気のせい気のせい。
 これまで何だかだと沢村のトラブルに巻き込まれてきた良太としては、できればこのくそ忙しい時に何もあってほしくはないと頭の中から沢村のことをシャットアウトする。
「良太ちゃん、坂口様からお電話です」
 社長の工藤がドラマの撮影でギリシア辺りをうろついている間に、やらなくてはいけないことが山積みで、とにかくビシバシとキーボードを叩いていた良太は、鈴木さんの声に顔を上げた。
 ええええ、また坂口さんか、何か面倒な話じゃなければいいけど。

 


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