花びらながれ20

back  next  top  Novels


 電話の声とともに、オフィスのドアが開いて、沢村が入ってきた。
「で、何をやらかしたんだ? お前」
 ソファに腰を降ろして、ふう、とため息を吐く人間はこれで何人目だっけ?
「佐々木さんが土地を売るって聞いて、即刻俺がその不動産屋からその土地を買ったんだ」
「はあ?」
 この話は、今までの話とはまた角度が違う内容だということは、辛うじて良太も理解した。
 スーパーでキャベツを買うのとはわけが違う。
 佐々木が土地を売るといえば、あの東京の一等地だ、一体売値がちょっとやそっとじゃないことはわかるし、それを簡単に買うやつがいるとは普通思えない。
 だが、目の前にいるこの男なら確かに頷けないことはない。
「だから、佐々木さん、何でまた土地を売るってことに?」
 沢村はそれからかいつまんで事情を話し始めた。
「佐々木さんがこないだ、父親から相続して以来何とか維持してきた土地だが、固定資産税が半端ないから三分の一を売るって言うんだ、もう馴染みの不動産屋に任せてあるって」
「ああ、なるほど税金すごいよな、きっと」
「それでその不動産屋に行って、佐々木さんには内緒で、俺その土地買い取ったんだ。もともと定宿にしているホテルをやめてマンションでも購入しようと思っていた矢先だし、他人に買い取らせるより、行く行くは佐々木家の景観を損なわないように、そこにちょっとした部屋を作りたいって思ってさ」
 常々、ホテルから脱却したいが、どこに住めばいいかわからないと言ったようなことを沢村は言っていた。

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ