花びらながれ23

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「いや、そんな気がするってだけで」
 慌てて良太は言葉を濁す。
「食事は?」
「あ、まだだった……」
 そうだ、コンビニで弁当でも買ってこようと思ってたら沢村が来ちまったんだ。
「この時間だと…、ま、いいか。行くぞ、良太」
「あ、はい」
 何となく良太がごまかしているらしいのを不審に思いつつも、工藤はタクシーを拾い、この時間でもやっている割烹料理の店に連れていった。
 北陸の魚介類メインの店だったが、いつもなら健啖ぶりを発揮するどうも良太が食が進まない。
「何を一人で抱え込んでいるんだ。少しは脳ミソの許容量を考えて行動しろ」
「はあ……ちぇ、自分は色々こっちに押し付けるくせにさ」
「何か言ったか」
 良太が小声でブツブツ口にしたのを聞きつけて工藤は険しい眼差しを向ける。
「別に何でもないです」
 良太は工藤に話そうかどうしようか逡巡したが、やはり市川のことは言えない。
 それに水野あきらのことも聞いてみたいのだがやはりそれも聞けなかった。
 あ~あ、とやけになって良太はがんがん食べ始め、しまいには手酌で日本酒を飲んだ。
「ほんとは気難しいって人みたいなのに水野あきら、すんごくフレンドリーで、こっちの意向も一も二もなく引き受けてくれちゃったと思ったら、考えられる理由は一つ、あんたの昔の女なんだろ? 高広が高広がとかいっちゃって、昔かどうかもわかりゃしない…」

 


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