花びらながれ30

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 オフィスに戻るとソファに来客がいて、その男はドアが開いたのを振り返った。
「どうもすみません、お忙しい時に、広瀬さん」
 立ち上がった大柄な男はちょっと頭を下げた。
「え、渋谷さん、………どうも」
 警視庁捜査一課の渋谷である。
 工藤とは昔から何かと因縁があるようだが……。
 鈴木さんはソファセットに二人分のお茶を置くと、「じゃ、お昼に行って参ります」と気を利かせてオフィスを出て行った。
 良太はコートをデスクの後ろのハンガーに引っ掛けると、とりあえず工藤と渋谷が難しい顔をしているようすに、有吉のことしかないだろうと思いつつ、二人のところへ歩み寄る。
「あの……」
「知っていることを話せ」
 いつものことながら頭ごなしな工藤の言葉に、良太はムカついた。
「何をですか」
「有吉のことだ。はめられたというその根拠は? 何を隠している」
「上は有吉さんを容疑者と断定して、本人は否認していてもこのままでは起訴される可能性があります。煙草の吸殻は有吉さんのDNAと一致しているし、目撃証言では確かに有吉さんだと」
 工藤の言い方はどうあれ、渋谷の発言は厳しさを物語っていた。
「有吉さんは犯人じゃありません。渋谷に呼び出されて十分ほどで部屋に戻ったのは事実です」
「部屋に戻った? 有吉は渋谷を一時間ほどうろついていたと言ってるけど?」
 渋谷に問われて、良太は言葉に詰まる。

 


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