花びらながれ33

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「あの、奏ちゃん、大丈夫ですよね? 釈放されますよね?」
「おそらく……裏は取りますが、タクシーがあなたのマンションのある青山に着いた時間が死亡推定時刻の午後九時、それからそのタクシーで有吉さんが世田谷の自宅にちゃんと戻ったのなら」
「だって、電話したら部屋に戻ったって言ってたし」
「市川さんのことは極力内密に処理します」
 渋谷は言ったが、市川は、私はかまいません、という。
「奏ちゃんはダメだっていうけど……」
 市川はどうやらかなりな覚悟を決めたらしいと、良太は思った。
 市川は番組があるというので慌てて戻って行ったが、ちょうど鈴木さんが帰る頃になって、釈放された有吉が小田を伴って青山プロダクションを訪れた。
 鈴木さんが二人にお茶を出すと、小田が裏庭の桜がそろそろ良さそうですね、と声をかけた。
「ええ、平造さんが毎年黙って、手入れしてくださるから、上野や千鳥ヶ淵なんか行かなくてもここで十分お花を堪能できますわ」
「おい、工藤、今年はここで花見だな」
 小田が桜を避けている工藤にわざとらしく声をかけると、工藤は眉を顰めた。
「去年もちょっとやったんですよ。今年は声かけますね、小田先生」
 良太が工藤に代わっていった。
「おう、楽しみにしてるよ」

 


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