花びらながれ35

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「え………」
 じゃあ、市川はわかっていたのか、有吉がふざけて撮った写真を週刊誌に渡したことを。
 良太はそこまでされてもまだこの男が好きらしい市川がいじらしくてたまらない。
 ったく、何でこんな男を。
「そういや、あん時の写真……」
 有吉はふと、そんな言葉を口にして、しばし黙り込んだ。 
 その時、有吉の携帯が鳴った。
「え? なんだって? 確かに俺の部屋か?」
 俄かに気色ばんだ有吉の声に、良太も工藤も振り返る。
「何かあったのか?」
「俺の部屋が燃えてるって、大家から」
「何だと?」
 有吉は電話を切らずに立ち上がると、「悪い、ちょっと行くわ」とオフィスを飛び出していった。
「誰もいないはずの部屋から火が出るっておかしいですよね。有吉さん、さっき言ってましたよね? あん時の写真とか何とか、ひょっとして何か犯人の不利になるような証拠、写真に撮ってるんじゃないですか?」
 不安を隠せない声で良太は言った。
 工藤はすぐに携帯で渋谷を呼び出し、有吉の部屋が燃えているらしいがおそらく放火で、事件に関係があるかも知れないと告げた。
「市川さん、大丈夫かな……」

 


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