花びらながれ36

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 有吉の部屋が犯人の放火なら、脅迫状を送られた市川にも何らかの危害が及ばないとも限らない。
 工藤は渋谷に連絡を入れた後、下柳からの電話を受けていた。
「ああ、おそらく放火だろう。証拠隠滅を狙ったか。ああ? データ?」
 下柳はアフリカでのデータはまだ整理がついていないし、有吉が持っているはずだという。
「仕方ないな、万が一の時は振り出しだ。費用の心配はいい、とりあえずスケジュール調整しといてくれ」
 聞き耳を立てていた良太は愕然とする。
「そうか、アフリカでのデータ、ぱあになっちゃうかも」
 番組の大事なデータがダメになったりしたら、またアフリカへ赴いてデータを一から撮影しなくてはならないわけで、費用のことを考えて頭を抱えそうだし、工藤なら怒鳴り散らすかしそうものだが、こんな時、工藤はむしろ冷静なのだ。
 本人が何かやらかしたのではなければ、こき下ろすようなことはしない。
 ま、そういうとこはやっぱできる男っつうか。
「何だ?」
 ぼんやり見つめていた良太に電話を終えた工藤が顔を向けた。
「え、いえ、あの、今夜は接待でしたよね」
「ああ、フジタの会長だ」
 赤坂の料亭のあと銀座の会員制クラブだ。
 有吉のことも気がかりなのはわかっているが、とりあえずやることは山積みだ。

 


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