花びらながれ39

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 しばしあって、五階の非常階段、と返事がきた。
「工藤さん、五階の非常階段!」
 良太はエレベーターのボタンを押した。
 エレベーターはなかなか降りてこない。
「俺、非常階段から上がります」
 良太は非常階段のドアへ走った。
 三階までは一気に駆け上がったが、四階への階段をあがるペースが落ちる。
「ちょっと最近運動不足だよな……」
 ブツブツ口にしたその時、「きゃあっ」という声が上から聞こえた。
「え、やば! 市川さん!」
 慌てて駆け上がると五階への階段の踊り場に誰かが倒れているらしいのが見えた。
「市川さん!!!」
 倒れている市川に駆け寄った良太が、ふと見上げると白髪交じりの年配の男が見おろしている。
「あんた上田?!」
 幸い段数が多くなかったせいか、市川はすぐ良太に気づいて身体を起こした。
「広瀬さん!!」
 良太にしがみつく市川を見おろしていた上田は気が動転して狼狽えているようにみえた。
 だが、身を翻してドアに戻ろうとした上田は、いきなり開いたドアに驚き、さらに現れた男の顔を見てぎょっとした顔で凝視した。
 工藤が一歩足を前に出すと、上田は後退り、次にはへなへなと尻もちをついた。


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