花びらながれ6

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 この人もまたどうせ気難しいんだろうと思いきや、アポを取るために事務所に電話をすると、電話を受けたのが何と水野本人で、青山プロダクションの広瀬と名乗り、依頼の件を話すと「いいわよ」と軽くOKしてくれた。
 だがそんなすんなりいくはずはないきっと何かあると疑ってしまうのは、良太にいわせると華やかさの裏で実は魑魅魍魎が跳梁跋扈しているこの世界に身を置いてはや数年の性ゆえだろう。
 外苑西通りから明治通りに入った頃、ハンズフリーにしている良太の携帯が鳴った。
「はい、あ、坂口さん」
「良太くん、君には大変申し訳ないんだがな、実は内定していた勝俣律子と斎藤美弥が降りるって言ってきて」
「え……ウソ…」
 再び坂口からの電話だったのだが、思わず、ウソ、と呟いてしまうほど面倒な内容だった。
「竹野の名前を伝えた途端さ。何か、前に二人とも竹野とトラブったらしくて彼女との仕事はごめんだってさ、悪いけど代わり、探してもらえないかな。人選は良太ちゃんに一任すっから。あ、そうだ、良太ちゃんとこの事務所の二人、どうかな? じゃ、そういうことだからよ」
 良太がしばしパニクッているうちに、坂口の電話は切れてしまった。
「何が、じゃ、そういうことだからだよ! 全く、どいつもこいつも! やっぱ工藤の類友だっ!」
 車の中でどれだけ喚いてみたところで、状況は変わらないだろう。
 しかも急を要するときてる。
 一任ったってな、工藤に一応相談してみるか。
 アテネは今、朝の七時か。
 ドラマの人選、しかも結構大きなプロジェクトである、何人か上げようと思えば候補はないこともないが、数字に直結する可能性があるわけで、自分の一存で進めるのはためらわれた。


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