花びらながれ7

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 例えどんな端役でも、適当に穴埋めできるようなものではないのだ。
 それは以前、急に降板したチョイ役の代わりに自分が志願した時の苦い経験上、十二分にわかっているつもりだ。
 水野あきらとの打ち合わせが終わったら、工藤に電話を入れてみようと決めて一つ息を吐くと、ちょうど信号が青に変わる。
 右折してすぐのマンションに目指す事務所が入っているらしい。
「どうぞー、開いてるよ」
 『株式会社エムエー』と書かれたドアをノックすると、中からのんびりした声がきこえた。
「はじめてお目にかかります、私、青山プロダクションの……」
 パソコンの前にこちらに背を向けて座っている女性が一人いたので、良太は名刺入れから名刺を取り出しながら声をかけた。
「ああ、君が良太ちゃん? なるほどねぇ」
 自己紹介し終わらないうちに振り返って立ち上がったのは、何と、水野あきらその人だった。
 髪はぼさぼさ、Tシャツに皮のジャケット、洗いざらしのジーンズにくたびれたスニーカーといういでたちだが、異様に彫の深いエキゾチックな美貌が際立っている。
 確か彼女もハーフだかクォーターだかと聞いたことがある、が、いったい全体、初対面で良太ちゃんと呼ぶその理由が、良太は気になった。
「ごめんごめん、あたし、水野あきら、よろしくね。良太ちゃんの噂はひとみから聞かされてて、つい」
 ああ、だから気軽にOKしてくれたんだと、良太はそれで納得した。
 水野あきらは山内ひとみの類友ということだ。
 つまり、工藤とも?

 


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