願いごと 5

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 家族みんなが元気でいられますように。
 と、それからとりあえず、工藤も元気でいられますように。
 十二分に元気だぜ、あのオヤジは。いい年こいて夕べもゼツリン………!!!!
 手を合わせてから良太は、昨夜の工藤を思い出して、一気に赤面する。
 とと、神様の前で、不謹慎じゃん、消えろっ!!!
 まあ、今のところ、工藤の周りには手料理なんぞ作ってくれそうな女もいそうにないし。
 今年も工藤と一緒にいられますように。
 それが良太の願いだ。
 
 
「え、これ?」
 今から帰るという良太に、百合子が風呂敷包みを差し出した。
「だって、社長さんもおひとりでいらっしゃるって言ったでしょう? お口に合うかわからないけど、お土産といってないから、こんなものでよかったらと召し上がっていただこうと思って」
 風呂敷の中の三段重ねのお重はずっしりと重たい。
「ひとりだっていったって、きっと取り巻きの女が何人もいそうじゃない、そんな気を使うことないわよ、お母さん」
「亜弓!! はしたないこと言うんじゃありません」
 傍から工藤の悪態をつく亜弓を一喝して、百合子は良太に向き直る。
「お口に合わなければ、会社の方と良太がお食べなさい」
「ありがとう、母さん」
 母の気持ちが目に沁みる。
 何だかすぐにも工藤に会いたくなった。
 両親が働く旅館の温泉にゆっくりつかり、翌日は休みをもらった両親としばし一家団欒な正月を満喫した。本当は工藤には、三が日、ゆっくりしてこいといわれたのだけれど。
「からだに気をつけてね」
「うん、母さんたちも。また連絡するから」
 逸る心を抑えてアパートをあとにすると、良太は工藤のいる東京へと帰途についた。
 
 
 
         おわり     
 


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