清風 1

next  top  Novels


 

 
 
 
    ACT 1
 
 
 元旦からカラリと晴れた年明けとなった。
 厳しい報道が相次いだ年を終え、世の中は少しでも明るい兆しをと新しい年へ希望をつないでいる。
「はあ? お茶会? ですかぁ?」
 良太はぽかんと口を開けたまま、書類作りに取り組んでいたパソコンから顔を上げた。
「ああ、綾小路の小夜子さんから、直々初釜のお誘いだ。いい加減、口を閉じろ。間抜け面もほどほどにしとけ」
 辛らつな工藤の言葉にムッとしながら、良太はきっと唇を結ぶ。
「お食事会とかってならまだしも、俺、お茶とか、お茶会なんて、これっぽっちも縁がないですし。俺は遠慮しときますよ」
「茶会も出たことがないのか。だったら、一度くらい出てみたらいい」
 さっきの電話で、工藤は一体誰と話しているんだろうと良太は気になっていた。
 珍しく時間が空いていたのか、オフィスにフラリと戻ってきた工藤は、ちょうどかかってきた電話を取ったのだ。
 時折親しげに小夜子さん、とか工藤が相手のことを呼んでいたので、良太はパソコンの画面に顔を向けながらも、ついつい耳をそばだてていた。
 どこかで聞いたことがある名前だとは思った。
 綾小路小夜子は財界の大物、東洋グループ次期総帥夫人だ。それより何より、あの、傲岸不遜な綾小路京助の兄の妻で、しかも小林千雪の従姉だったはずだ。以前、工藤にチラッと聞いたことがある。
 だが小夜子本人に会ったことはないし、どのみち自分とは住む世界が違うだろう、くらいしか良太には認識されていない。


next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ