清風 10

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   ACT 2
 
 
 日曜日は朝からすっかり晴れ上がり、絶好の初釜日和というところか。
 空気が冷たいせいか一層清清しい青空を車の窓越しに見ながら、もう一本煙草をくわえようとして、工藤はやめた。
「あのバカ、まさか寝てるんじゃないだろうな」
 待ち合わせは十一時、会社の裏口の前、そういっておいたはずだが、既に十五分が過ぎている。
 工藤は車を降りると、エレベーターに向かった。
 
 
 
 その頃、良太はスーツ選びに頭を悩ませていた。
 新年早々工藤のお供で行くからには、工藤に恥をかかせられない。それより少しでも引けをとりたくない、と朝から迷いに迷って、やっとスーツを決めたところである。
 誰に引けをとりたくないかというと、小林千雪である。初めから勝負はついているようなものだとわかってはいても、負けを認めてかかるのはしゃくではないか。
 つるしのブランドものではなく、工藤が行きつけの紳士服店で良太に仕立てさせたスーツにした。
 明るめの茶色は良太によく似合うと、知り合いのスタイリストにも言われた。


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