清風 13

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 いかにも育ちのよさそうな、ソフトな雰囲気の青年に微笑みかけられて、良太は慌てて涼の言葉を訂正しつつ挨拶する。
「あけましておめでとうございます。それは失礼しました、広瀬さん、どうぞ、お入りください。車、ガレージに入れてきます」
 涼は笑顔を崩さず、工藤から鍵を預かると車に乗り込んだ。
「今の人は?」
「末息子の涼だ」
「てことはあの京助の弟? あんま似てないですね」
 傲岸不遜な京助の態度を思い出して、良太が思わず口にすると、工藤は苦笑する。
 藤原に案内されて広いホールに通されると、「いらっしゃいませ、工藤さん」というおっとりした女性の声がした。
「あけましておめでとうございます。お招きいただきまして、本日はよろしくお願いいたします。こちらは広瀬良太です」
「あけましておめでとうございます。お忙しいところをありがとうございます。綾小路小夜子です」
 工藤と一緒に挨拶しているうち、呆然と見惚れていた良太は、にっこり微笑むその美人に慌てておめでとうございますを言うのが精一杯だった。何しろ、まるで千雪が着物を着てそこにいるのかと錯覚するほど、千雪によく似ていたからだ。
 よく見ればちゃんと女性だし、良太が考えていたようなキャリアウーマンとは違って雰囲気が柔らかだ。黒髪を品よく結い上げ、ラベンダー色の無地に春らしく赤い椿をあしらった帯がしっとりとした中にも華やかさを見せている。
「従姉ってこんなに似てるもんですか?」
「確かに、姉弟でもこうも似ているのは少ないだろうな」


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