清風 14

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 耳打ちしてくる良太に工藤は笑った。
「姉さん、客は揃ったのか?」
 はっと顔を上げると、たった今良太が思い浮かべていた倣岸不遜な顔があった。
「よう、あんたか。何だ、お前も一緒か」
「お前こそ、正月にうちにいるなんて、どうかしたんじゃないのか? 京助」
 憎まれ口のさなかに新年の挨拶を交わす横で、良太はついつい京助を睨みつけるが、京助は相手にもしないようすだ。
「そんなにタレントに困ってんのか? あんたのとこは。そいつをわざわざテレビに出すほど」
「また失礼なことを言ってないで、京助さん、工藤さんと広瀬さん、ご案内してちょうだい」
 京助の言い草に思わずカッときた良太が何か言う前に、小夜子がたしなめる。
「へいへい、畏まりました、お姉さま。アスカなんか待たなくてもう始めちまおうぜ」
「そんなわけにいかないでしょう。ごめんなさいね、京助さん、口は悪いけど悪気はないんですのよ」
 十分悪気があると思うけど、とは心の中で良太は呟く。
「アスカさんも来ることになってるんですか?」
 良太は工藤に尋ねる。
「ああ、夕べロケから帰ったばかりだが、来るつもりらしい」
 そうか、アスカは千雪を追って青山プロダクションに入ったというし、京助とも知り合いだったのだと良太は納得する。
「だったら、わざわざこなくてもいいんだ、あのバカ」


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