清風 15

back  next  top  Novels


 

 工藤の言葉を聞きつけて、京助がまた悪態をつく。
「小夜子様、中川様がお見えになりました」
 背後で藤原の声がしたと思うと、「あけましておめでとうございま~す」と、アスカが涼を従えてバタバタとやってきた。
「おめでとうございます。へえ、馬子にも衣装?」
「涼さん、何かこの頃段々京助に似てこない? 口が」
「冗談でしょ?」
「よくお似合いよ、アスカさん」
 小夜子が優しく笑う。
「でも草履でバタバタ走っちゃダメだよ」
「だって着付けに時間がかかっちゃって。髪もなかなかうまくいかなくて」
「着物なんて、あんまし食べられないんじゃないの、アスカさん」
 着物姿のアスカを振り返って、良太もボソリと口にする。
「ちょっと良太、人がせっかく着物着てるってのに、綺麗だくらい言うものよ、何、その言い草」
 確かに綺麗ではある。
 黒地に御所車や梅の花が描かれた華やかな訪問着に、絵巻ものの図柄が展開された緞子の帯を結んでいる。着物を着ると随分雰囲気まで違うものだ。
「一言しゃべりゃ、同じだろ? せっかくの着物も泣くよな」


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ