清風 17

back  next  top  Novels


 

 広い座敷に膳を構えたのは、亭主役の小夜子を除いて総勢十名、ほとんど内輪の人間だと、隣の席に座った涼に教えられて、良太も少し肩を撫で下ろした。
「これで、東洋グループ関係のお偉方でも勢揃いしてようものなら、食べた気がしませんよ」
 屈託なく親しみやすい雰囲気の涼にはつい心を許して、良太はこそっと口にする。
「でも懐石だからね、お腹にたまるほどではないだろうし。茶会のあとで、ゆっくりまたコーヒーでもどう?」
「あ、嬉しいかも」
 席に着く前に涼がみんなに良太を紹介してくれたところによると、今向かい合って一番端に座っている和服姿の老齢の大きな紳士が、彼の父、つまり東洋グループ会長だ。お偉方の頂点にいる人には違いない。
 その隣が彼の母、佐保子だ。白髪も上品で静かな女性である。
 末席が京助で、その向かいに座る一番若い青年が、今はここにいない小夜子の夫、次期東洋グループ総帥となる紫紀と彼の前妻との間に生まれた大だ。
 京助によく似ているが、大らかそうで性格は良さそうだ。
 亭主の小夜子が挨拶し、杯に酒が配られると、皆が箸をとった。
 工藤はマルローや大長、佐保子、その隣に座るアスカらと歓談していた。
 アスカは時々右隣にいる千雪と笑ったりしているのだが、千雪の笑顔に思わず目を奪われてしまい、良太は慌ててご飯を口に運ぶ。
 ご飯に味噌汁、ついている刺身はお向こうという、涼は親切に良太に教えてくれる。
 やがて煮物椀を亭主の小夜子が運んでくる。そして焼き物、揚げ物と続く。
「そういえば、和泉さん、じゃなくて広瀬さん、俺のクラスでも人気あるんですよ」


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ