清風 21

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 マルローが何だかだと話しかけてくるのだが、工藤は適当に相槌をうちながら、そんなことを考えていた。
「へえ、あっちが紫紀さんと小夜子さんのうちで、向こうにも離れがあるのかぁ。広いな~、こんな東京のど真ん中なのに」
「戦前からご先祖が持ってた土地があるからじゃない?」
 リビングから良太を連れ出して、涼が敷地内を少し案内してくれた。
 どこからかシェパードが走ってきて、涼や良太の傍で遊んでくれとばかりに尻尾を振っていたが、ちょこなんと二人の前に座る。
「お前もでけぇな。お手」
 良太がちょっとかがんで手のひらを出すと、犬はバフッと片方の手の載せる。
「ロージィは甘えん坊なんだよ」
「だな~、俺んちにも、猫一匹いるんだけど、甘やかしてるな~俺も」
「かわいがってるんだ? 良太の家はどこだっけ?」
「俺はもともと川崎の生まれなんだけど、うち家業がだめんなってさ、親と妹は静岡で、俺は社長に会社の上の部屋貸してもらってるんだ」
「乃木坂の? じゃ、通勤しなくていいじゃん」
「それだけは助かる」
 良太は笑う。
「これだけ敷地があれば、俺、フィールド作るな、野球できるじゃん」
「なるほど~、そういう意見は面白いな~」
 涼は腕組みをしてまじめに頷く。


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