清風 24

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   ACT 3
 
 
 離れの傍らにある茶室には、五人ずつに分かれてにじり口から入る。
 古い日本庭園をマルローに案内するというので、大長や佐保子、工藤と京助の五人は後になった。
 炉にかけられた釜の湯からはしゅんしゅんという音が聞こえている。
 一緒に入った涼や千雪を見よう見まねで、良太も小夜子が点ててくれるお茶を飲む。
 菓子は千雪の友人の和菓子職人の作だと、小夜子が説明してくれる。味噌あん仕立ての花びら餅は甘く煮たゴボウが美味だ。
 お茶の香りが何とも芳しく、この空間だけが不思議な静寂をもたらしている。
 アスカが正客として、茶碗や茶入れ、茶杓など道具の説明などをもとめ、小夜子がそれについて答える。
 どろっとした濃茶も苦いばかりではない美味しさがあるのだと、良太は改めて思う。
 心地よい静寂が、そこにいる者たちをしばし外の世界から隔絶させる。
「……広瀬さんってば」
「へ?」
 はっと気づくと、大が良太の顔を覗き込んでいる。
 茶室を出てぼんやりしていたが、外はまばゆいばかりの快晴だ。
「プロデュースの仕事ってどんなことやるの?」


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